みそらをかける猛鷲の
人の処女の身に落ちて
花の姿に宿かれば
風雨に渇き雲に饑ゑ
天翅るべき術をのみ
願ふ心のなかれとて
黒髪長き吾身こそ
うまれながらの盲目なれ
みそらをかける猛鷲の
人の処女の身に落ちて
花の姿に宿かれば
風雨に渇き雲に饑ゑ
天翅るべき術をのみ
願ふ心のなかれとて
黒髪長き吾身こそ
うまれながらの盲目なれ
あゝあるときは吾心
あらゆるものをなげうちて
世はあぢきなき浅茅生の
茂れる宿と思ひなし
身は術もなき蟋蟀の
夜の野草にはひめぐり
たゞいたづらに音をたてて
うたをうたふと思ふかな
色にわが身をあたふれば
処女のこゝろ鳥となり
恋に心をあたふれば
鳥の姿は処女にて
処女ながらも空の鳥
猛鷲ながら人の身の
天と地とに迷ひゐる
身の定めこそ悲しけれ
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